夢・光・音

日々の生活の中で生まれてくる想いや感情を詩や文章などで吐き出そうと思います

物語

私の中にはたぶん「物語」がある。

すべての人にもあるのだろうか?もしかしたら、多くは埃をかぶって、使い物にならなくなり、失われてしまったのかもしれない。

木を植えてから、こまめに雑草を取り、水を丁寧にあげ続けないと、枯れてしまうか、いい風に育たないのと同じように、こころも自分でケアし、適度に試練と鍛えることをしないといい風に育たない。人との温かい交流や芸術などの文化に触れることも重要だ。

「魂」を死なせてはならない。現実に絡めとられて、干からびないように、こまめに休息や養分を与えなくてはならない。

現代社会や特に日本は「こころ」をおざなりにしてきたと思う。形式的な道徳や精神論ばかりがまかり通り、大人達の多くの言葉は若者や子供達にはダイレクトには響かない。大人達のその言葉は彼らの素直な、正直な、「魂」の籠った言葉ではなく、世間や社会に忖度した、言わされている言葉だからだ。私が子供だった頃、いつも思っていたのは、一般論や誰かが言っていたことじゃなくて、あなたの言葉を、あなたが人生を経て、発見したことを「夢」を持って、語ってほしいということだった。あなたが人生で、見出だした、あなた固有の1つの真実を教えてほしいということだった。

その要望に対し、私はいつしか期待しなくなった。どんなに待っても、面白い話は始まりそうにないから。そして、その時、私は発見した。私の中に「物語」の萌芽があり、それは育ち始めている、と。そして、それは個人的であると同時に普遍的だ、と。

太古の昔から脈々と流れる「物語」の歴史を止めてはならない。それが私の仕事だ。