夏の空が私の前に広がっている。入道雲や青い空を飛行機が横切る。
すれ違う人は皆半袖で、肌は小麦色に焼けている。
小学生の時、眠い目をこすりながら、朝、公園でラジオ体操をしたことや、中学生の時、エアコンもない卓球場で、汗をかきながら、必死で練習したこと、大学生の時、焼き肉屋のバイト終わりにみんなで公園で、酒を飲んだことや、終夜営業のカレー屋で戯れたこと、それらはすべて随分前のことなのに、昨日のことのようだ。夏って過去を思い出させる作用がある気がする。
今みたいな平和で素晴らしい日常が永遠に続くわけではないということを私は何故か知っている。
人はいつか死ぬことを予感しているから、死ぬ気で頑張ったり、素晴らしい作品を残せたり、誰かを誠実に愛せるのだろう。
大江健三郎が言っていた。「一瞬よりいくらか長いあいだ」として「永遠」があるのだ、と。
いつか自分の「物語」を誠実にお話したいです。