夢・光・音

日々の生活の中で生まれてくる想いや感情を詩や文章などで吐き出そうと思います

文学フリマ37に行ってみて

私の友人でライトノベルを書いている平修さんの本を買うために、流通センターで開催された文学フリマに今回初めてお邪魔した。会場は賑わい、数多くの出品者とそれを買い求める人で溢れかえっていた。大学の文化祭のような雰囲気で、世の中にはこんなに文学をやっている人がいるのだなと驚いた。

 

さて、平さんの作品も収録された冊子に対する感想を述べてみたい。

 

古(いにしえ)の魔女 平修

平さんお得意の冒険物で魔法や剣術も出てくるストーリーだが、一番のテーマは信頼関係や愛なのかもしれない。主人公たちの楽観性やユーモアは平さんにも通ずるものがあり、憎めないキャラクターや正直さや愛が状況を打開し、未来を切り開いていくというところに救いや痛快さを感じる。続編も期待されるし、いつか平さんの長編も読んでみたい。

Happy Birthday 黒井和(なごむ)

黒井さんという方は面識がないので、どういう方か存じ上げないが、きっと柔らかな人なのだろうなと思った。わがままな女社長(娘)の誕生日を祝うために執事や父親や使用人がドタバタ動き回るヒューマンコメディで、独特の世界観で、随所にさりげないユーモアが散りばめられている。エンディングもハッピーで、読後感がよかった。

この夜を越えれば 朱乃紅(あかのこう)

3人の中では一番硬質な文章で、ハードボイルド的な要素も垣間見られた。基本的にはホラー小説だが、底知れない人生に対する皮肉(アイロニー)や悲哀(ペーソス)もなんとなく感じた。それが作品にそこはかとない不思議な魅力をもたらしていて、ただのホラー小説じゃないものに仕上げている。リングの鈴木光司さんに似ているかもしれない。

 

今回代々木果実連合(代々木フルーツミックス)の冊子を購入して読んだことや文学フリマにお邪魔させてもらったことは、自分があまり知らない世界だったので、刺激になったし、勉強になった。一昔前の文学が深刻で、辛気臭いものだというステレオタイプ固定観念)も変わってきているのかもしれない。文学の世界だけでなく、サブカルチャーやそれ以外にも、世界には様々な潮流が出てきていて、その中で思うことは本当にいいものしか残らない、ということだ。そういったことを肝に銘じて、私自身も頑張っていきたい。