西村賢太さんが亡くなった。愛読していたし、尊敬していたし、文章を書く上で随分影響も受けた。
『苦役列車』『蠕動で渉れ、汚泥の川を』『暗渠の宿』『どうで死ぬ身の一踊り』など、好きな作品はたくさんある。
破天荒で小心者で、どうしようもない奴がくすぶって、東京の街をうろついて、酒を呑んでいる様がすごく好きだった。
小賢しくカッコつけるより、自分の悪いところも情けないところも出してしまう方がよっぽど格好いいということを教えてもらったのもこの人からだった気がする。
没後弟子を自称する、西村さんが、敬愛する藤澤清造から影響を受け、引き継いだように、私も西村さんから引き継いだものがあると思っている。
また一人自分にとって重要な人が亡くなった。今日の風はいつもより冷たく感じる気がする。