夢・光・音

日々の生活の中で生まれてくる想いや感情を詩や文章などで吐き出そうと思います

5月7日「あの頃」の続き

あの頃第一志望の大学に合格して、若くて病気持ちでもなかった和也は意気揚々と大学近くの神奈川の一人暮らしの部屋に乗り込んだ。これから起こるであろう輝かしい青春の日々を思い描いては眠れぬ夜が続くほどであった。

高校の卒業式から大学の入学式までの短い期間を利用し、人材派遣業で人生初めてのバイトなんぞもし、金を稼ぐことの案外の容易さと共にそのような業態で働く者達の死んだ目というか、どこか投げやりな視線と出逢って、ギョッとする和也だったが、結局はさしてその死んだ目とやらにもそれほど気にも留めず、引っ越し手伝いとやらの重労働だが簡単な仕事で、その頃は比較的その業態では景気もよかったのか、残業もした日には1万5千円などの日銭を稼げる日々に気を良くしていた。