夢・光・音

日々の生活の中で生まれてくる想いや感情を詩や文章などで吐き出そうと思います

映画「ムーンライト」を観て(ネタバレ注意)

今日の午前、母と「ムーンライト」という映画を観た。

友達に「涙なしには観られない」と勧められて、観てみたのだが、泣きはしなかったが、あっという間に時間が経ってしまう、面白い深い映画だった。

黒人の少年(シャロン)はゲイであることから、学校ではいじめられ、母親は薬物中毒で、居場所がない。そんな時に人のいいヤクの売人とその彼女に助けてもらい、つかの間の温もりを味わう。

そして、時は経ってシャロンは高校生になった。そこでもいじめられていて、なおかついじめはエスカレートしている。彼のことを守ってくれるのはヤクの売人の彼女だけ(ヤクの売人自身は死んでしまった)。母は相変わらず薬物中毒のままだ。そんな時海でクラスメートとばったり合う。彼とは心が通うものがあり、体を重ねる。

高校のクラスではいじめがエスカレートし、いじめっこがシャロンを体を重ねたクラスメートに殴らせようとする。クラスメートは嫌がるが、断りきれず殴り散らしてしまう。そして、倒れたシャロンをいじめっこ達がさらにボコボコにする。怒ったシャロンは教室の椅子でいじめっこをぶん殴り、少年院送りになってしまう。

それから時は経ち、シャロンは筋骨隆々のヤクの売人になっている。デカい車に乗り、金色のネックレスをし、金の歯をつけている。昔の面影はない。シャロンは母と面会する。母は薬物から離れ、仕事もしている。母は「ヤクの売人なんてやめて、まっとうになれ」と言う。そして、「すまなかった」「愛してる」とも。シャロンはその言葉に涙する。

シャロンの元にある日突然電話がかかってくる。昔体を重ね、わかりあえたクラスメートからだった。「コックになった。俺の店に来ないか?」という誘いだった。迷ったが、シャロンは店に向かった。旧友はシャロンの変わりぶりに驚くが、優しくもてなしてくれる。旧友は「あの時のことはすまなかった」と言った。シャロンは黙ってうなずく。そして、旧友は「離婚もしたが、子供もいて、安月給だが、あくせく仕事をするというのも悪くないよ。これが全うな暮らしだ」と言った。シャロンは何も言わない。ただ黙ってお互いの温かみを確かめあう。

というような映画でした。素敵な映画でした。ゲイやバイセクシャルについて考えさせられました。尚、「ムーンライト」というタイトルは少年時代のシャロンをかくまったヤクの売人が「黒人が満月の夜に踊ると青く光る」と老婆に言われたところからきています。少年時代のシャロンが月に照らされて青く光る映像は美しくて、ハッとします。