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夢・光・音

日々の生活の中で生まれてくる想いや感情を詩や文章などで吐き出そうと思います

あるカフェ店長への恋

昔々あるところに若くて、小さめな体のかわいらしいカフェ店長がいました。

彼女は来る日も来る日も休まず、愚痴ひとつ言わず熱心に働いていました。

彼女は忙しすぎても、連勤が続いても、厄介な客がいても、嫌な顔ひとつせずに、笑顔で大切なことを忘れずにお客さんやスタッフに接し続けました。

そんな彼女の店に足繁く通う、冴えない世を恨んだところのある文学青年がいました。

彼は最初、このカフェ店長を疑っていました。人が良すぎるからです。それに彼のようなろくでもない人間にも優しすぎたからです。

しかし、彼女の優しさや人の良さは1年が過ぎても、2年が過ぎても、3年が過ぎても、続きました。

その暖かな日差しのような優しさは、この青年の疑り深い、凝り固まった厚いマントを徐々に脱がせていきました。

そして、とうとう青年はマントを完全に脱ぎました。

マントを脱いだ青年は嬉しくなって、このカフェに行って、カフェ店長にプロポーズしようと思いました。

しかし、店に行ったら、このカフェ店長は男の人とハグしていました。

青年はしょげてしまいました。またマントを着ようかとも思いました。

でも、それは嫌でした。それでは、今までカフェ店長が青年にしてくれたことが全て無駄になってしまうからです。そして、青年はそれほど愚かではありませんでした。

彼はかわりにこの若い2人の愛を祝福しようと思いました。彼は人を愛するとはどういうことかを学んだのです。

そして、彼はカフェ店長からもうひとつのことを学んでいました。

それは「人は信じていい」ということです。

その後、この青年は偉大な文学者になりました。それでも、成功した今になっても、心が苦しくなり、負けそうになる時はこのカフェ店長のことや彼女の笑顔、このカフェのことを思い出して、こころを奮い立たせているのでした。

めでたし、めでたし。おしまい。