夢・光・音

日々の生活の中で生まれてくる想いや感情を詩や文章などで吐き出そうと思います

書きかけの小説からの抜粋「脱皮」

和也はカウンセラーに「自分(だけ)のために書いてみなさい」と言われたことをきっかけに、もっと個人的で自己完結的な文章をこれからは書こうと思うのであった。誰におもねることもなく遠慮することもなく、発表することを意識することなく、どこまでも自由で個人的な作品を作ろうと思うのであった。

もっと恥や遠慮の意識を捨てる必要があるかもしれなかった。それは中々難しいことだし、将来の発表というのがどうしてもちらついてしまう和也なのであったが、どう読まれるかばかりを気にした作品が面白いはずはなく、和也はそろそろ脱皮する必要に迫られている気がした。

自分でも足りないものに対して気づきつつあった。正直な気持ちを吐き出せてない事象や箇所があった。自分の内側にある醜い感情にフタをしているところがあった。読者が一番読みたいのはそういう真実の部分なのに。和也は覚悟を決めつつあった。綺麗事だけを並べる今のくだらない作風から脱皮して、自分の汚い・ズルい感情や他者への鋭い・辛辣な批評を開けっぴろげに表明した真実の文学へ進化しようと思っていた。