こんにちは。
今日は西村賢太さんについて書こうと思っています。
西村賢太さんというのは言わずと知れた芥川賞作家で、テレビなどのメディアへの露出も多く、人気と実力を兼ね備えた日本を代表する私小説作家です。
この1ヶ月で、彼の著作を4冊読みました。内訳は「どうで死ぬ身の一踊り」「棺に跨がる」「小説にすがりつきたい夜もある」「廃疾かかえて」です。どれも衝撃的で、ユーモアがあって、美しい小説や随筆でした。
西村賢太さんの見た目(強面で、大柄で、太ってて、不遜に見える)をご存じの方も多いと思いますが、小説の中身もあのまんまです。
恋人への激しいDV、敬愛する私小説作家・藤澤清造への殉情、中卒であることや父親が性犯罪者であることへのコンプレックス、激しすぎる性衝動、食べることや酒を呑むことへの喜び。それらが各作品の中で躍動しています。
彼という矛盾に満ちたパーソナリティーが爆発し、挫折する様は悲しくて、絶望的で、爽やかなカタルシスを呼び起こします。孤独で、不器用で、不様な生きざまは誰にとっても身に覚えがあり、彼がしぶとく力強く這って生きていく様は読者を勇気づけます。
彼という作家に「苦役列車」で出逢ってから、たぶんかれこれ7冊読ませてもらいました。日本文学の作家でこれほど読んだのは村上春樹さん以来です。これからも彼の小説世界、楽しんでいきたいと思います。皆様も興味がありましたら、西村賢太さんの著作、是非手に取ってみてください。それでは。