先月から読んでいたカフカの「城」を読み終わりました。
面白かったし、不思議で、不気味で、謎とユーモアに満ちていました。
話のあらすじは測量師のKが城のほど近くの村に到着するところから始まります。そして、2人の小さな助手を得たり、城の役人の使者と交流を持ったり、酒場の娘と婚約関係になったりしながら、話は続いていきます。途中不幸な境遇に陥った家族の話を通して、城という官僚機構の柔軟性のなさや人間の感情を無視した巨大組織というものについて切々と語られていきます。そして、話はKが婚約者に逃げられるところで、未完のまま終わります。
カフカは奇妙な人です。話は脈絡がないようで、説得力があり、非現実的なのにリアリズムの小説以上にリアルです。文体はまわりくどく、気を入れて読まないと意味を正確に読み取れないのに、面白く、魅力的です。
本当に描こうとしているものはカフカ以外誰も知らないだろうけど(カフカも知らないのかもしれない)、どこにも属さない(職業という存在形式を持たない)で生きていくことの難しさや疎外感というのは、表現したいこととして、本の解説にもあったけど、あったかもしれません。
この本は不気味です。現代社会の矛盾をあぶり出しているように感じます。実存的意味を大事にしながら、現代を生きることは果たして可能なのか?そんな答えの出ない、厄介な問いを僕達に投げかけてきます。
「天才中の天才だな」
と読み進める上で、カフカに対して何度も思いました。不思議で、難解で、奇妙な魅力に満ちています。
よかったら、ご一読下さい。それでは。