優しい雨が地面を濡らしていく。絵の具がキャンバスを塗りつぶしていくように。涙がポタポタと頬をつたい落ちていく。意識の上でわかる理由など何もなく。
大きな目標を掲げるのはやめたよ。ただ小さくても自分らしく生きていければいい。黒い小さな子犬がつぶらな瞳でベロを出しながら、微笑んでいる。風は優しい音楽を奏でているようで、今の少し悲しい気持ちと調和している。
本当にほしいものなど数えるほどしかなく、それすらも本当にほしいのか確信は持てない。北の方角に輝く星はいつも通りきれいで、自分が持っているエゴなんて吹いたら飛ぶほどのちっぽけなものだ。
運命に翻弄されながらも、懸命に生きる健気で優しい人間はいずれは元いた、ずっと先にある家(HOME)に帰れるだろう。みんなが待つ家に。